突然の雷の響きに思わず、天を仰ぎ見てしまいました。春雷だと気付かされたのは、その後しばらくたってからでした。

古くから伝わる考え方ですが、物質は風、水、土、火の四元素からなるという「四元素説」というものがあります。古代ギリシャや中国の自然哲学の概念のひとつです。当時から哲学者が、一体どの元素が万物の始まりを形づくっていったのかなどと議論していたようです。

その意味では、春雷はその四元素がもたらす現象のようで、まるで四大元素の大饗宴ですね。旧約聖書の天地創造のくだりが思い起こされます。

体の時間感覚がデジタル化しているのか、時の経過の脈筋を据えるのに鈍感になってしまっているように思うことがありました。元来、人には、季節や時間の流れを五感でしっかりと感じ取る能力が備わっているはずなのに、ついつい無意識に情報や刺激の入力回路を遮断して、五感のスイッチを強制終了してしまうようで幾ばくかの焦りを感じておりました。そんな鈍った五感を春雷は、目覚めよと云わんばかりの強烈なメッセージをもたらしてくれたようです。最近は、野草の香り、土の匂いに関心を向けるようにしています。

さて、我がホームでは、お出かけを希望される方が多くなってきました。春を感じたいと自然とからだが反応し始めているのですね。認知症の高齢者のみならず、高齢になると五官を通して刺激を受けることで、生きている感情、思考、想い出などが活性化すると言われています。

このことは、何も高齢の方に限ったことではないように思います。かえって若い人たちのほうが、あまり五感を働かせていない世相を感じます。お年寄りの語りや、はっとするような言葉の中に感性を呼び覚ましてくれるヒントがあるのかもしれません。  五感を研ぎ澄まし、目を瞑って、感性からの反応に耳を澄ましてみませんか。



  新井教泰さん
アルタクラッセ二子玉川支配人・介護支援専門員

介護付有料老人ホーム
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