ホーム南側の塀づたいに植えた、向日葵が咲き始めました。地面から、吸い込んだ養分を力いっぱい空に向かって表現しようとしている向日葵の生命力は、通り行く人に向かって、夏を乗り切るエールを送ってくれているかのようです。

 私たちのホームでは、「心のゆとりを大切に、愛し、愛される関係でいたい」との理念を掲げ、日々の暮らしの中で繰り広げられる介護の場面に活かしています。介護というと、いつからか「介護する側」のテクニックやノウハウ的なところに力点が置かれて「介護される側」の立場が軽んじられる傾向であったことは否めません。私自身もケアマネジャーの仕事に数年間従事しているなかで、介護保険制度上の一定のルールに則って仕事を進めることは基本ではありましたが、その進め方に違和感を覚え「専門家」の仕事ではなく「専門屋」の仕事に埋没していた自分に気づかされたことがあります。それは「介護される側」の主体性に対する私たちの現実認識の浅さからくるものでした。

 ある日の朝食時の場面で、ご入居者様がご飯のおかわりをご希望された際、スタッフもご本人の旺盛な食欲に喜び、「朝から、ご飯のおかわりなんて、すごいですね」と声をおかけしたところ、ご気分を害され、数時間不機嫌になられました。しばらくして直接話を伺ったところご本人曰く「なんでご飯のおかわりをするのに、まわりにわかるような大きな声でいうのかい?恥ずかしいではないか」との訴え。なるほど、食事をという行為は、とてもデリケートな、お一人おひとりのプライバシーなのです。それに十分配慮していかねばならないことにあらためて気づかされました。数日後、その方はご自身で以前よりも大きなお椀を用意されていました。大きい分だけ、お椀を持つ手が重そうです。

 この出来事は私たちスタッフにとって大きな教えになりました。いつでも、さりげない気遣いや心配りができるようになりたい。また言葉を都度、介さなくても相手の心持ちがわかるようになりたい。「介護する側」と「介護される側」の間に「愛し、愛される関係…」が実現されるように。



  新井教泰さん
アルタクラッセ二子玉川支配人・介護支援専門員

介護付有料老人ホーム
アルタクラッセ 二子玉川

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